病み彼女との恋愛
分かれ道で去ろうとすると、
「あの……!
聡さん………!」
「え?」
小毬に呼ばれて小毬の方を見ると…
花の香りと共に…
小毬が胸に飛び込んでくる。
え……?
背中に腕を回され、強く、でも弱々しかった……
「こ、まり……?」
「………わたくしは…
もう、聡さんしか……だから………」
その声も弱々しくて少し泣き声になっていて、
小学生の頃のしっかり者の小毬の姿。
高校に転校してきた大人しい小毬の姿。
その二つとも重ならない。
他人に弱さを見せることのなかった小毬が泣くのを堪えて、俺に抱きついている。
「聡さんが…眠り続けていて…
もしかしたら…もしかしたら……
死んでしまうのではないかと……」