病み彼女との恋愛
「な、にを……」
やめろ、やめてくれ…
まさか、真逆!
俺が想像した事は、実際に起きて欲しくない事で…
それは、咲紀の死へと直結する行動。
咲紀は…
酸素マスクを掴むと…
ゆっくり、
自分の口元から外した……
「た、かし…
ごめんね…もう、私…ダメみたい……
だから…最後に……」
「止めろよ‼︎
なんで、なんでそんな事言うんだよっ‼︎
治る可能性があるんだろ⁉︎だったら……!」
「…ううん……
私はもう死ぬの……わかる…
自分の事だからさ…
ねえ…尊。
私は、好き。尊が…好き。
ううん。
好きだけじゃ収まらない。
大好き……!」
「俺もだよっ!
だから…死ぬなよ!
俺だってお前とまだ…まだ、やりたいこと沢山……」
「うん…うん……
でも、もうだめだから…
ねえ…最後のお願い……聞いて?」
最後のお願い…
そんな最後って言って欲しくなかった。
でも、咲紀の目は虚ろで…
でも、俺に願いを叶えて欲しいって訴えていた。
「ああ…叶える。
お前が願う全てを…俺は叶えてやる!」
「……ありが、とう…
キスして……?」
「ああ…」
そっと。
そっと…
優しく。
優しく…
今までの想いを伝えるように……
俺は、咲紀に…
最初で最後のキスをした。