病み彼女との恋愛
「咲紀。
お前が生きようとしたこの世界を精一杯、俺なりに生きる。
咲紀。
俺にはお前の変わりなんて居ないからな。
俺にはお前だけで十分なんだよ。
だから…
また会おう。何処かで」
咲紀の遺体の前で口に出して誓う。
背後で咲紀の親が驚いた様な顔をしている。
「尊くん…
もういいんだよ?
咲紀が望んでいるかはわからないけれど、咲紀はもう…いないの……
だから…違う人を好きになって、恋人を作って……?…ね?」
咲紀のお母さんがそう言って下を向く。
それでも…俺は……
もう、決意したんだ。
「お母さん。
俺は…俺が……
この身体で迎える生涯の中で愛するのは……
この世でたった一人。
咲紀だけなんです。
他の誰かじゃきっと満足出来ない。
御心遣いありがとうございます。
でも、俺は…
咲紀だけを愛し続けます」
外に出ると空は雲ひとつ無い青空で
「いい天気」と表現するには良さ過ぎる天気だった。
そんな青空の中歩いていると
咲紀との思い出が、想いが、蘇って…
咲紀の声、笑顔、仕草、キスした時の感触…全てが思い返して蘇って…
それが、もう二度と会えない事を示していて…
ベンチに座ると俺は……
静かに泣いた
*TAKASHIside、end*