病み彼女との恋愛
「っていう本を知っているか?」
「……いえ…」
「これを小学生の頃から何度も何度も読んできた」
そういう遊樹先輩の手には古ぼけた本。
……本は正直あまり読まない。
忙しすぎたっていうのもある。
でも、母さんが死んでから本を読むことを極力避けていた。
母さんは本が好きな人だったから……
「で、お前の話を聞く限り…
小毬にとってお前の言葉は武器じゃない。
小毬を守る盾になったと思う」
「先輩はいつからロマンチストになりました?」
「んな⁉︎
俺は最初からロマンチストだけど⁉︎」
……そんな欠片一切見当たらないんだが…?
「酷いなあー」
と、なんだかんだといいながら笑う
過去話を聞いてから、もう今までの遊樹先輩に会えないかと思ったら
その後ずっと、今までのアホ面した遊樹先輩のままだった
変わったことがあるとすると、
普通に冷徹なことを言うようになったこと…
故人の由莉さんの今までの話(惚気)をするようになったこと…
多分、今まで由莉さんの話をするのを避けてたんだと思う。
だからこそ、俺に話したことにより遠慮なんてしなくなったんだと思う
少し、ほんの少しだけウザいけど……
毎日顔をあわせるたびに話をされる