…だから、キミを追いかけて
暑いなぁ……と思って目が覚めたのは、空が白んできた頃。
薄目を開けて辺りを見回す。
左肩に痺れを感じない。
眠りに落ちる前、確かに凄く痺れていたのに……
「おいっ!起きたんなら頭どけや!」
怒鳴り声がして驚いた。
ぱちっと目を開け、左右を伺う。
体が斜めになっている……というか、凭れている⁉︎
(誰に⁉︎ )
ガバッと起き上がった。
左側に人がいる。しかも、この声はーーーー
「波留……」
日焼けした顔が近い。
しかも、ちょっと怒っている…。
「あ…あの……私……」
なんで⁉︎ どうして私が波留の肩借りてるの⁉︎
昨夜は確か逆だったよね⁉︎ 皆に任されて、唖然としたまま帰る姿を見送ったから。
「いつ…立場、逆になったん……?」
間抜けな質問をして悪いけど、全く身に覚えがないから仕方ない。
ビール飲んで気持ち良くなって、風もそよいでいたし……って、言い訳ばかりが口に出る。
「あのなー、覚えてないのも大概にしとけや!こっちが目ー開けたら、一緒んなって眠り込んどるし。起こしても起きんし、仕様がなし肩貸してやったんやぞ!」
「えっ⁉︎ そうなん⁉︎ ごめっ…疲れてたから……」
仲居のバイトに引き続いて、澄良たちを手伝った。
間では航との別れもあって、ほっとしていたに違いない。
(だからってマズいよね。朝帰りやん……これじゃあ)