…だから、キミを追いかけて
「んー…」

ゴロンと寝返り。全くダメ。

「もう!怒った!」


自販機に直行。冷え冷えに冷えている缶コーヒーを2本買った。

ピタ…と頬にくっ付けてやる。
両目や額、首元へ……と、場所を変えても起きない。

(…となれば……)

ペラ…と服を捲る。
この人の裸ならこの間も見た。
恥ずかしくも何ともない。


「えいっ!」

お腹の上でコロコロ転がす。

さすがに目が開く。
うっすら……と、それからこっちを睨んだ。



「やっとお目覚め⁉︎ 」

やれやれ…と溜め息。本当に困ったおサルさんだ。

むくり…と身体を起こした人が、無言で私を睨みつける。
機嫌の悪い寝顔は、これまでで一番怖そうだった。

「そんな顔せんとって!そっちが私を誘ったんよ⁉︎ 」

なのに、寝てるって何⁉︎
聞いたことないよ⁉︎


「俺は時間にルーズな奴は嫌いや!それから、眠りの邪魔されんのは何より好かん!」

「あのねー、女性には身だしなみを整える時間ってもんがいんの!あんたみたいに、無防備でなんかいられんのよ!」

特に私は色白で、日焼けすると後が大変なんだから。


「やけぇ田舎もんの格好で来い!って言うたやろ!」

時間かけずに済むように…って、それは思いやりな訳⁉︎

「やから髪も巻かずに来たやん!なんか文句ある⁉︎ 」


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