…だから、キミを追いかけて
駐車場へ戻ると、波留は電話をかけ始めた。


「…ああ、そうや。……うん、分かった。…なら、またな」

相手は誰だか知らないけど、タメ口で話している。
年下の人?友達?


「…悪りぃ。待たせたな」

車に入ってくる。

「ううん…別にいいよ。今日は運転しなくていいから楽やし。次はどこ行く?まだ再発見する⁉︎ 」

「するに決まっとー!任せとけ!」


嬉々として、まるで子供みたい。波留は本当に故郷が好きなんだ。


山道を下って農道へ戻る。

両サイドに広がる緑の畑。
全部梨とミカンだと教えられた。

「梨? ミカン?これ全部⁉︎ 」

農道に入ってから10㎞ 以上続いている。
農道の名前は『イエローロード』 。

「20世紀梨の黄色」と「ミカンの黄色」からきているらしい。


「うわぁ!博識ー!」

びっくり!そんな話、初めて聞いた。

「また一つ賢くなったろー!俺のお陰で」
「なったなった!でも、その自慢は余計やわ」

敢えて言わなくてもいいのに…と負け惜しみ。

「ええやんか!自慢したいんや!」

開き直っている。

「自意識過剰やね」

威張りたい…なんて、子供みたい。


「波留は、子供や」

正確には、子供のまま大人になった人。
「男性はいつまで経っても子供だ」と、雑誌に載っていた通り。

「子供で悪りぃか!」

またまた開き直る。

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