…だから、キミを追いかけて
「壁ん中やない。足元や」
「足元…?」

目線を下げた。


「わっ…これもしかして…貝塚⁉︎ 」

足元一面、全部化石になっている…。

膝を折ってしゃがみ込む。

二枚貝や巻き貝、ホタテような石も見える。


「……ねぇ、これって掘ってもいいん⁉︎ 」

顔を上げて聞いた。
子供の頃、理科の課外授業でやった化石掘りを思い出した。

「ダメやろうな。ここは県の天然記念物に指定されてっから!」
「そうなん……残念…!」
「…何や、夕夏は化石に興味があるんか?」
「あるって言うか…不思議やん⁉︎ 太古の生物に触れるって、そうそうできんから…」

指先で化石を擦る。
子供の頃、自分ん家の近くの磯でも、化石を探して歩き回った。


「そんならええとこあるから行こう!嫌って程、化石に触れっぞ!」
「えっ!どこそれ…」

すくっと立ち上がった途端、ふわっと視界が暗くなった。

「…おっ!…と」

波留に支えられる。

「ごめっ…ちょっと立ちくらみ……」

寝不足なのに、燥ぎ過ぎたせい。目が眩んだ。

「ええか?」

顔を覗き込まれる。

「平気……もう大分いい……」

目を開けた。
ぱちっと開かれた茶色の瞳とぶつかる。

…近い!
……近すぎる!!


「だ…大丈夫やから…離して……」

体を突っ撥ねた。足元が、海藻で滑る。

「危なっ…!」

抱き抱えられた。
ふわっ…と、風のように…。

肌が密着する。


熱が……伝わる………


< 125 / 225 >

この作品をシェア

pagetop