…だから、キミを追いかけて
三つ子の魂百まで……

この言葉の意味を、私は痛いくらい思い知った。
父とのことは記憶に少なくても、いつも決して嫌な思い出にはならなかった。

可愛がってもらった。
愛してもらった。

誰よりも。
何よりもーーー。




「そっか…。良かった……」

いつもは鬼の様な母の目から、涙が零れ落ちた。
昨日とは違う優しい涙を流して微笑む。
その顔を見て、私はほっと気持ちが楽になるのを感じた。



……ここに生まれてきてよかった。

この町で生きていくことを、やっと一から始められる。


自分の存在を噛みしめて、


ようやく歩き出そう……と思えたーーーー。





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