…だから、キミを追いかけて
父と会ったことは、内緒にしておき……と祖母に言われた。
父のことも手術のことも母にとっては毒だから…と言ってーー。



(毒か……ホント、その通りだな……)

天井板の年輪を見つめながら、思い出したくもない人のことを思う。


こうして、この家に帰るしかなかった自分を責めたくなるような気持ちでいっぱいになり、顔の上に枕を乗せた。
涙が溢れて耳の中を濡らす。
その気持ちの悪さも顧みず、声を殺して泣いた。


虚しさに襲われるのは、この時だけじゃない。
もう何ヶ月も前から何度も同じ様な思いに陥った。
その度に自分を奮い立たせ、後悔しないように生きようと思った。


でも、結局はその場限りで、全てを一番最悪なパターンで打ち切って帰ってきた。
ヘトヘトに疲れて、立ち上がれなくなるまで頑張った末の結論だった……。



(疲れた……もうヘトヘト………)


心の底からそう思い、夢の中を彷徨う。


子供の頃から憧れていた外の世界。
何もかもが光に満ちていたのは、何も知らないその時だけだったーー。




………今は……何かを知ったような気がする。

でも、もう…それを全部忘れた……。

あの出来事と一緒に、私の感情は全て押し流されていった。


きれいに掃除された袋の中と一緒に、…外へ出ていってしまったのだ……。


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