…だから、キミを追いかけて
「夏もそろそろ終わるね……」

話を切り替えようと海を眺める。
日差しが秋っぽくなっている。柔らかく感じる陽射しに合わせて、涼やかな秋風も吹いてくる。

「……こっからが暑いんやけどな…」

ゴクッと喉を鳴らしてグラスを空にした波留を横目で見て、視線を海に戻した。

「ねぇ……この間言っとった化石に触れる場所って、こっから近い?」

また連れてってやる…と言っていたのを思い出した。

振り返る私に目を向ける。
赤っぽい頬をした波留が、カタ…と椅子から立ち上がった。

「…すぐそこやけど……行くか?」

「…行ってもいいん⁉︎ …皆は⁉︎ 」

店内を気にする私に、「気にせんでもええ」と言い放った。

「俺等なんかおらんでも勝手に盛り上がる!ただ騒ぎたいだけなんや。あいつ等は!」


店内を親指で指し、バルコニーを出ていく。
波留の背中を追いかけながら、この間のことを思い返した。


幼い子供のように、はしゃいで化石に触った。
太古の命に触れる場所。それが、この近くにあるーー。


期待をしながらついて行く視界の先に、『考古博物館』と書かれた白い看板が見えてきた。


「ねぇ…『考古博物館』って何?…そんなのこの島にあったん?」

背中越しに聞く私を振り返り、波留は呆れるように言った。

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