…だから、キミを追いかけて
「なんや…夕夏はこの町のもんやのに、そんな事も知らんのか?ここは考古学者の間では、有名な島なんぞ⁉︎ 古代人の骨も発掘されたし、ここでしか採れん貝やら海藻やらの化石も、ようけ見つかっとる!」

小学生でも知っとるぞ…と馬鹿にされた。


「そんなの知る訳ないやん!」

島の人間じゃないんだから…とぶつぶつ言う。負け惜しみを聞きもせず、波留は話を続けた。

「この間の場所も記念物に指定されとったけど、 この島だけじゃなく、町内の至る所にそういう場所があるんや……」

理由を説明する波留の口から、聞いたこともないような貝の名前やら海藻の種類が飛び出してくる。一つ一つの名前には専門用語まで付けられ、まるで波留自身が考古学者のようだ。


「…波留って何者なん⁉︎ なんでそんなに詳しいん⁉︎ 」

話の途中で聞き返すと、彼はまたしても呆れるような言い方をした。

「何者って……誰でも知っとることしか言うとらん…」

お前が知らなさすぎやろ…と馬鹿にする。度重なる態度に、少しむっときた。


道路の先には白い壁と焦げ茶色の屋根が乗った教会のようなものが建っている。
玄関部分だけが高い塔のように伸びており、四角い小屋根が付いている。
屋根の下にはベル。その下には、ステンドグラスの小窓も見える。


「……ねぇ、もしかしてあれが考古博物館⁉︎ チャペルじゃないの⁉︎ 」

指差して尋ねた。

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