…だから、キミを追いかけて
ーーー目が覚めると夜中だった。

いつまで経ってもお風呂に入らない私の様子を、きっと母は見に来たに違いない。

顔の上に乗せていた枕は除けられていた。
タオルケットはお腹に掛けられ、心地の良い温度でクーラーがつけられている。


……泣き顔を見られてしまったかもしれない。
もしかすると、あの人の名前を寝言で呟いてしまったかもしれない。


しまった…と思いながら起き上がる。
夜中の2時過ぎにお風呂というのも気が引けて、シャワーだけを浴びてまた眠った。




……静かな田舎町の夜は、物音もせず更けていく。

隙間だらけの心に響く波音。

その音だけは、きっとこれかも変わらない。


何があっても、何もなくても………




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