…だから、キミを追いかけて
誕生日パーティーは、夜まで続いていた。
さすがに飲み過ぎな感じの男性陣を見つめて、澄良や佳奈さんが呆れている。

途中から参加してきた波留のお姉さんは、幼い頃の波留について、いろいろと教えてくれた。


「あの子、海の生き物を飼うのが趣味でね。家ん中でいっつもフナムシ追っかけとった。おかげでこっちは何度あのムシを踏んだか知らん。グシャ…!って嫌な音がして、汁が飛び出して……今でも忘れられん思い出よ…!」

わんぱくを通り越して、悪さばっかしとった…と言われる波留自身は、夕方から勤務だと言って、仕事へ行ってしまった。

夕方から48時間連続して勤務する。それから丸2日休む。
そういう勤務だってことは初めて知った。
だからーーー



『……消防署で働くって大変なんやね…』

驚いてこぼした。
波留は私の額を指で弾いて、『今更か!』とツッコミを入れる。
髪をクシャクシャしたり、指で弾いたり、どうも私は、波留から女子だと思われてないらしい。

『……あのね、波留。普通男子は女子にそんなのせんのよ⁉︎ 』

もっと優しく扱って…と言ったら馬鹿にされた。

『優しゅうするんは本当に好きやと思う奴だけや。夕夏は対象外!』

『ひっど!…そんならいい!私も波留には優しくせんから!』

応援もせんわ…とぶーたれる。
波留が可愛いなんて思ったのは気のせい。とんだ堕天使だ。

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