…だから、キミを追いかけて
帰ってきた初日に立ち寄った展望テラス席のあるカフェは、佳奈さんと星流のお店だった。

語尾を伸ばして働いていた女性店員は佳奈さんの従姉妹で、まだ高校生なんだそうだ。

「3年やから部活もせんやろ?それで、放課後だけ手伝ってもろうてんの!」

日没が一番の賑わいになるらしく、運動会のある日曜日も、本当は休みにしたくない…とこぼしていた。



近所の噂好きのおばさんが言っていた通りだ。

島の若い人達は頑張っている。
観光客に向けたメニューを一つでも多く作ろうとしていたり、ネットを使って、美味しい店を探してみたり。


何もしてないのは私だけ。なんだか落ち込むーーーーー。






9月の第2日曜日、私は島の小学校にいた。
前の晩から星流の家に泊まって、朝早くから佳奈さんの弁当作りを手伝った。

酒のツマミに…と小アジの唐揚げと南蛮漬けを作り、子供達の為に…と鶏を唐揚げにして、油の臭いが染み付いたままの服で、帆崇君の応援をしていた。

島の児童は、全学年を含めても30人もいない。おかげで、地区民運動会の方が種目が多いくらいだ。


午前のラストを紅白リレーで終え、午後からは地区民の運動会が始まる。
その前に酒盛り。それが恒例らしい。


「今日、波留は出場せんのか〜?」

星流のお父さんが酔っ払って聞いた。

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