…だから、キミを追いかけて
「とにかく食べてみて!味は保証する!」

自宅で一度作って、祖母に味見してもらってるから大丈夫な筈。

「こぇーなぁ…」

オドオドしながら手が伸びてきた。
「怖い」と言いながらも、一番大きなアジを取っていく。


一口で頭からかぶりついた。
前の晩から漬け込まれているアジは、見事なまでに骨がトロトロだ。


「……旨ぇ…」


驚いた様な顔をしている。

…ふふん!どんなもんだい!


「じゃあ今度はこっちの唐揚げをどうぞ!小アジも鶏も、私が下味付けて揚げたんや!」

こうなると、もはや押し売り。
呆れ顔をしながらも、波留は取り皿に乗せた。


「…なんか、ユッカちゃんは世話焼き女房みたいになっとんな。…波留の彼女にでもしてもろったんか?」

舌っ足らずな物言いで星流がからかう。

「違うわ!」

言い返す私とは反対に、波留は黙って唐揚げを頬張った。


「………旨いわ…」

くそぉ…という感じ。どうしてよ。


「波留は揚げ物あんま食べれんのよね。去年、肝脂肪検査に引っかかったから…」

ケラケラ…と笑いながら佳奈さんが教えてくれる。

「肝脂肪検査…?」

人間ドックとかのあれ?

「酒の飲み過ぎやったんよ!やから今は、殆ど家では飲んどらんのだって…」

皆との集まりの時も、大半はノンアルか薄めた焼酎を飲んでいるらしい。

「この年で肝脂肪やら、カッコ悪いからな!」

箸を進めながら、波留が言い訳した。

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