…だから、キミを追いかけて
「なんや…それならそうって言えばいいのに…」

あれこれ迷っていたのはそのせいか。
私はてっきり、どれを食べるか迷ってるんだとばかりに思っていた。

「…だったらこれはもう止めやね…」

南蛮漬けのタッパーを取り上げようとした。

「待てっ!それはここに置いとけっ!」
「なんでよ⁉︎ また検査に引っかかっても知らんよ⁉︎ 」
「検査なんて半年に1回や!それまでにセーブしとけばええ!」

持っていくな…と押さえ込まれた。

気に入られたのは嬉しい。
でも、健康は何より大事だから……

「じゃあ今飲んでるコレは私がもらう。波留はこっちを飲み!」

私が飲んでいたノンアルを手渡す。
運転して帰るつもりだったから、それにしてたんだけど。

「お前、一々喧しい女やな!少々飲んだって、検査になんか引っかからんって言うとるやろ!」
「私は波留の健康を考えて言っとんの!もう少し有難く思って!」

くだらない喧嘩に発展している。
周りは誰も止めない。
酒盛りに喧嘩は付きものみたいで、誰もが皆、騒いでいたから。


「お前みたいな奴、もう灯台上らせんぞ!…折角、今月末に上らしたろうかと思っとったのに…」

つまんなそうにノンアルの缶を煽った。

「今月の末⁉︎ …それって、満月の日⁉︎ 」

思わず身を乗り出した。

「そうや。なんでも今年一番、月が大きゅう見えるとかなんとか言うとったような…」

まっ、どうでもええけどな……とボヤかれた。

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