…だから、キミを追いかけて
島の地区民運動会が終わり、私は自分の家に戻った。
賑やかな人達に囲まれていたせいか、妙にし…んとして、寂しい感じがする。

島の人達は活気があっていい。だけど、島以外の人は暗い。


……何でだろう。

たった一本の橋が、架かったか架からないかくらいの差なのに……。


(これも、月の女神に守られてるせい……?)


馬鹿なことを考えてしまった。
灯台があっても無くても、きっと根っから明るい人達ばかりが揃っているんだ。


ケータイのアルバムを開いてほくそ笑んだ。
陽に焼けた肌の人は、午後8時に灯台の下で待っている…と言った。



『何時に月が昇るか知らんけど、それくらいの時間なら昇っとるやろ』


波留らしい見解に笑える。
私は月が見たいんじゃなく、海が眺めたいだけなのに……。


あれこれと想像する灯台の上。
どのくらいの広さがあるのか知らないけれど、本当に楽しみ。


「あーあ……早く月末にならんかなぁ……」


今年一番大きく見える月の夜……

その夜を境に、何かが変わっていって欲しい。


心躍るような期待を胸に、写真を眺め続けた………。



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