…だから、キミを追いかけて
ドーナツ型に空いた穴から出て、灯台の上部に到着した。

怖さで息も掠れる。
安堵よりも、下りる時の恐怖で体が震える……。

穴の隙間から、波留が顔を出す。
ヘッドライトに照らされて、眩しそうに目を細めた。


「……情けねー奴やな……」

床に手を付き、上体を浮かせる。狭い床に滑り込み、私の側に座った。


「よしよし…」

涙ぐみにそうになっている私の髪を触る。
一気に気持ちが解れて、きゅっと波留にしがみついた。


「……怖かった……」


予想以上に急な階段に背筋が凍った。
手足がカクカクする。
これと同じ思いを、帰りもするのかと思うとゾッとする。


「ほら見ろ。やっぱり俺がいて良かったやろ!」

笑いながら波留が肩を抱く。

いやらしい意味でなくホッとする。
波留の心音を聴いていると、気持ちが不思議と落ち着いてくる。



少しずつ慣れてくると、灯台の内部を見る余裕も出てきた。
灯台の上は、2段に分かれている。
一番上は、ライトがある場所。私達がいるのは、その下の部分。



「ーーほら、夕夏が見たがっとった海がよう見えるぞ…」


肩越しに話しかけられる。
ゆっくりと顔を上げ、壁の方を振り向く。

小さな窓辺から、月に照らされた海が、よく見渡せたーーーー。

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