…だから、キミを追いかけて
『お父さん、次はいつ来る?』

小学校1年生の私に、離れて暮らす父の事情は掴めなかった。

『また直ぐに会いに来るよ。ユッカが良い子にしてたらね…』

優しい言葉と父の笑顔は、今でも思い出せる。

若くてスマートで目鼻立ちがすっきりした父は、子供の私から見てもイケメンだった…。


『約束よ!指切りげんまん!』

右手の小指同士を絡め合った。
あの時の約束を果たしたのは、それから20年後の手術の日だったーーーー。


父と再会したことは、今も最悪な思い出としか残っていない。でも、もしも、私が誰かと結婚することになって、幸せな姿を見せれる日が来るとしたら……


3度目の正直として、私に会いに来て欲しい。
確実に血の繋がる者として、今度こそ小さな命を抱いて欲しい。


『独りじゃなくなったよ……』と、父に自慢したい。

『もう寂しくないよ……』と、安心させたい。

『お父さん、お母さんの子供として、この世に生まれてきたことに感謝している……』と伝えたい。



故郷へ帰る日……
最後まで見送ってくれた、お礼を兼ねてーーーー





「……お父さん……」


小さな子供のように父を求めた。
航のことを好きだと思ったのも、きっと面影が似通っていたからだ。


都会的でスマートで優しい…。
どこかの誰かとは違う……どちらかと言うと、痩せっぽちで、青白い顔をした人………。




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