…だから、キミを追いかけて
真っ直ぐと……灯台に向かって伸びるこの道路を走らせて。

その右の路肩を、急ぎ足で歩く人に言いたいことがある。



真っ黒に日焼けしていた肌は、秋になって、少しだけ色褪せた。

二の腕についている筋肉の量は変わらず、引き締まったままだけど。


…その腕の中は、とてもあったかだった。

優しく扱って……と言ったら、口ではしない…と言ったのに、きちんと優しくしてくれた。


何時だって、私のことを笑顔で見てくれた。

いろんな言葉を受け止めてくれた。

いろんな気持ちも、吐き出させてもらった。

故郷の良い所も、興味深い所も、全部、教えてくれた。


だから………


今度は、私が……………!







「……波留っ!!」




ーーーー叫んだ。



今まで、一番大きな声で。





「待って!!私のこと……独りにせんとって………!!」


灯台の上でお願いしたやん!

独りにせんとって……
したら恨む……って………



「…波留のことが………好きなんよ………!」


誰にも替わらないくらい、好きになってたんよ……。

やから、ホッとしたんよ……。惜しいと思ったんよ……。


波留のことを……独り占めしたい…。……子供やから………私は…………。





ーーー車が走る道路端で、叫ぶ様な声を出して、恥も外聞も、色気も何も無いけど……



「側に居たいんよ…!一緒に居て欲しいんよ…!……独りは………寂しいから………!」


< 216 / 225 >

この作品をシェア

pagetop