…だから、キミを追いかけて
『灯台に上る前、微かに期待しとった。お前との縁が強まったらええな…って。縁切りなんて誰とでも嫌やけど、夕夏との縁は、今よりも深うなればええな…と思うた』
パニックになって焦る私を抱き留めた時、自分の気持ちが、カクン…と傾くのが分かった。
手の中にある温もりが逃げて行かないようにしたい……と強く願ったそうだ。
『彼処で火事を見つけたのは幸いやったけど……もしも何事も無かったら、俺は彼処で、お前に嫌われるようなことを平気でしとったかもしれん。そしたら今も、呑気に茶なんか飲んどらんかったかもしれん……』
澄良の店に戻り、2人で試作品のケーキを食べつつ、コーヒーを飲んでいたところだった。
波留は、その場の雰囲気や勢いだけでキスをした訳ではなく、ただ私を自分のものにしたかった…と言い訳をした。
『キヨやないお前を……夕夏を…誰にも取られとうなかった…』
澄良と出会った披露宴の日、海斗さんから先に、「澄良と付き合いたい」…と言われたそうだ。協力を頼まれて、断りきれなくなった。
『海斗は幼馴染やから、あいつが一途な性格なんはよう知っとった。キヨと奴が付き合えば、幸せになれるんは間違いなぁと思ったけぇ…』
ーーー波留は、誰にでも平等に接しとった…という澄良の言葉を思い出した。
『特別な相手』が見つかっても、それを表には出せず、そうするしかなかったんだと思う。…きっと……。
パニックになって焦る私を抱き留めた時、自分の気持ちが、カクン…と傾くのが分かった。
手の中にある温もりが逃げて行かないようにしたい……と強く願ったそうだ。
『彼処で火事を見つけたのは幸いやったけど……もしも何事も無かったら、俺は彼処で、お前に嫌われるようなことを平気でしとったかもしれん。そしたら今も、呑気に茶なんか飲んどらんかったかもしれん……』
澄良の店に戻り、2人で試作品のケーキを食べつつ、コーヒーを飲んでいたところだった。
波留は、その場の雰囲気や勢いだけでキスをした訳ではなく、ただ私を自分のものにしたかった…と言い訳をした。
『キヨやないお前を……夕夏を…誰にも取られとうなかった…』
澄良と出会った披露宴の日、海斗さんから先に、「澄良と付き合いたい」…と言われたそうだ。協力を頼まれて、断りきれなくなった。
『海斗は幼馴染やから、あいつが一途な性格なんはよう知っとった。キヨと奴が付き合えば、幸せになれるんは間違いなぁと思ったけぇ…』
ーーー波留は、誰にでも平等に接しとった…という澄良の言葉を思い出した。
『特別な相手』が見つかっても、それを表には出せず、そうするしかなかったんだと思う。…きっと……。