…だから、キミを追いかけて
あの道路で気持ちを交わし合ってから、1年未満の9月28日。
俺達は、灯台へ上った日と同じ日に式を挙げた。

「月の女神に肖りたい…」

夕夏が熱心にお願いしたからーーー。



『…お前、あん時、伝説や昔話に一々左右されんとって…とか言ってなかったか⁉︎ どうなんや、その辺…』

プロポーズをした時の会話。
納得いかない俺に向かって、夕夏はだって…と言い訳した。

『あの時はまだ、波留のことを仲間みたいに思っとったし…それに、そっちこそ、私を女子として見てない発言しとったやん!』

灯台に置き去りにされたことを持ち出してきた。あの時のことを、まだ恨んでいるらしい。

『そやけど女子として扱ってやったやろ?灯台上る時も、こうして身体くっ付けて………痛っ!』

顎の肉、引っ張りやがった。

『調子に乗らんの!あの時、私がどんなに焦ったか知らんくせに…!』

『知っとるって!やから、こっちもかなり抑えたやろ…⁉︎ 』

『どういうんよ⁉︎ それ…』


呆れながら胸板に頭を擦り付けてきた。
夕夏の髪は柔らかい。
猫の手触りみたいで、無性に気持ちがいいーーーー。


ーーーー初めて会った時、本当に猫みたいな気性の女やな……と思った。

でも、折に触れ、こいつのいろんな姿を見ているうちに……

(可愛い奴やん……)と、気づき始めた。


……夜中の灯台へ上ったことは、今でも2人だけの秘密だ。
灯台守りだった曾祖父さんのお陰で、自宅に灯台の扉を開ける鍵があったからこそできたことだ。



< 223 / 225 >

この作品をシェア

pagetop