…だから、キミを追いかけて
意気揚々と店内に戻る。
嬉しそうな澄良の後ろ姿を見ながら、ほっ…と一息ついた。


心地いい汐風に吹かれている。
パラソルの下に作られたテーブル席のお陰だと思う。

頬杖をついて海を眺める。
カラフルな浮き輪が浮かぶ海は、青味が強くて所々深い紺色をしている。
寄せる波は真っ白で、波打ち際は淡いエメラルドグリーンに染まっていた……



(きれぇ……)


島の海をゆっくり眺めたのは初めてだ。
家から見える景色とはまた違う美しさに、うっとりと見惚れた…。



……ふと、6年前のことが思い浮かんだ。


あの時もこんなふうに海を見ていた。



一人じゃなく、二人で……





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