…だから、キミを追いかけて
奇遇が重なった。
単にそれだけで仲良くなるスピードが早まった。
合宿所を卒業する頃に、航から「付き合おう」と言われた。
拒否する必要もなく、「うん!」と二つ返事で引き受けた。
短大の卒業式を迎えるまで時々デートを重ねた。
卒業した後も、実家へ戻っている私に会いに来てくれた。
新免のマークを付けて、くねくねとカーブする海岸線を走ってーーー。
『結構遠かった。いつ着くのかと思った…』
田舎だよ…と言ってた通りだね…と笑われた。
……恥ずかしかった。
都会生まれの航に、田舎者だと思われるのが嫌だった。
『私…この町嫌いなの。就職したらもう二度と戻らない気でいる。仕事もないし、町の人はお節介で喧しいし…』
嫌な所しか見えてなかった。
都会生まれの父の血が、自分をそう思わせるんだ…と信じ込んでいた。
ーーその時、島の灯台を見に行った。
春先の海は霞んでいて、荒い白波が立っていた。
肌寒くて航にくっ付いていたように思う。
灯台に上れるようになっていたかどうかを覚えていなかったのも、きっとそのせいだ。
塀に上ったあの場所で、初めてのキスをした。
照れ臭くて、まともに顔を上げれなかった。
……航のキスは優しかった。
でも、2度目のキスは少しだけ強引で……
唇を割って入ってきた舌に驚いた。
ぎゅっと袖を握りしめる私を逃すまいと抱き寄せてきて、ドキドキしながらディープなキスを受け止めたーー。
単にそれだけで仲良くなるスピードが早まった。
合宿所を卒業する頃に、航から「付き合おう」と言われた。
拒否する必要もなく、「うん!」と二つ返事で引き受けた。
短大の卒業式を迎えるまで時々デートを重ねた。
卒業した後も、実家へ戻っている私に会いに来てくれた。
新免のマークを付けて、くねくねとカーブする海岸線を走ってーーー。
『結構遠かった。いつ着くのかと思った…』
田舎だよ…と言ってた通りだね…と笑われた。
……恥ずかしかった。
都会生まれの航に、田舎者だと思われるのが嫌だった。
『私…この町嫌いなの。就職したらもう二度と戻らない気でいる。仕事もないし、町の人はお節介で喧しいし…』
嫌な所しか見えてなかった。
都会生まれの父の血が、自分をそう思わせるんだ…と信じ込んでいた。
ーーその時、島の灯台を見に行った。
春先の海は霞んでいて、荒い白波が立っていた。
肌寒くて航にくっ付いていたように思う。
灯台に上れるようになっていたかどうかを覚えていなかったのも、きっとそのせいだ。
塀に上ったあの場所で、初めてのキスをした。
照れ臭くて、まともに顔を上げれなかった。
……航のキスは優しかった。
でも、2度目のキスは少しだけ強引で……
唇を割って入ってきた舌に驚いた。
ぎゅっと袖を握りしめる私を逃すまいと抱き寄せてきて、ドキドキしながらディープなキスを受け止めたーー。