…だから、キミを追いかけて
「よっこらしょ!」

2人に持ち上げられて、シーポートの上に乗った。

ゲホゲホ……と咳き込む。
目がしみて喉がヒリヒリと痛い。

潮の……味がするーー。




「夕夏!大丈夫⁉︎ 」

澄良が顔を覗き込む。
昨夜と同じ。

ヘタレだ、私は……。


「喉が痛い……苦しい……」

弱音を吐く。

左目の端も痛い。それから頬も…。


「…海水飲むからや!仕様がない…自業自得!」

頭の上から波留が怒鳴る。顔を上げて見ると、全身ビショビショに濡れている。


私を……助けたせいだーーー。



「いきなり泣き出したかと思うたら落っこちるんやもんな。たまげたわ」

星流の目が丸くなっている。
海斗さんも澄良も、困ったような顔つきをしている。

「帆崇のこと庇っといて、自分が落ちるなんてあり得ん!アホのやることや!」

びしょ濡れになったTシャツを脱いで絞った。
引き締まった身体つきが露わになる。
腕や顔よりも若干、肌の色が白い。

割れた腹筋が呼吸に合わせて動く。
そのまま、こっちを振り向いた。

「俺が居らんかったら、死んどったぞ!お前!」

ギロリと睨まれた。
朝イチから泳ぐ羽目になり、相当ご機嫌ななめだ。

「それくらいで許したれよ。今の夕夏ちゃんに何言ったって無駄やから!」
「それより早く帰ろ。服、濡れたままじゃダメやし…」

立てる…?と澄良に聞かれた。

痺れたまま体が動かない。
ぶるぶる…と、首を横に振った。

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