…だから、キミを追いかけて
(静かだな…)
隣にいた人が声もかけずにいる。
「ほっとく」と言った言葉は、どうやら本気だったらしい。
チラリと見て驚いた。
缶を手にしたまま眠っている。
腿に肘をつき、考える人みたいなポーズのままで。
(呆れた。こんな格好で寝るなんて……)
野生児みたいな、子ザルのような顔をした波留の寝姿に笑いが起きた。
無防備で無頓着な男性の姿に、少しだけ気持ちが緩む。
(顔覗いたろ……)
近寄り、顔面を下から覗く。
薄い眉毛の下に、少ないまつ毛が見える。
日焼けした肌に薄いそばかすがある。
紫外線の手入れもせずに、放ったらかしているからだろう。
(勿体ない。結構、二枚目なのに)
観光客に人気があるんだろうなと思う。
マリンスポーツを教えている…と澄良が言っていたから。
ライフセーバーも兼ねている。
でも、本業はそれらじゃない…ってーーー。
(本業……何だろう?)
顔を見たまま思った。
閉じていた瞼が動く。
(やばっ!起きるっ!)
立ち上がって海を眺める真似をする。
大きな欠伸と吐息が聞こえ、波留が立ち上がった。
「帰るわ。じゃな」
「う…うん……」
さっきと同じように、地面を踏み鳴らすように歩く。
ジャリジャリという音を耳にしながら、その背中を目で追った。
「……ねえ!波留!」
名前を呼び捨てた。彼の足が止まり、後ろを振り返る。
隣にいた人が声もかけずにいる。
「ほっとく」と言った言葉は、どうやら本気だったらしい。
チラリと見て驚いた。
缶を手にしたまま眠っている。
腿に肘をつき、考える人みたいなポーズのままで。
(呆れた。こんな格好で寝るなんて……)
野生児みたいな、子ザルのような顔をした波留の寝姿に笑いが起きた。
無防備で無頓着な男性の姿に、少しだけ気持ちが緩む。
(顔覗いたろ……)
近寄り、顔面を下から覗く。
薄い眉毛の下に、少ないまつ毛が見える。
日焼けした肌に薄いそばかすがある。
紫外線の手入れもせずに、放ったらかしているからだろう。
(勿体ない。結構、二枚目なのに)
観光客に人気があるんだろうなと思う。
マリンスポーツを教えている…と澄良が言っていたから。
ライフセーバーも兼ねている。
でも、本業はそれらじゃない…ってーーー。
(本業……何だろう?)
顔を見たまま思った。
閉じていた瞼が動く。
(やばっ!起きるっ!)
立ち上がって海を眺める真似をする。
大きな欠伸と吐息が聞こえ、波留が立ち上がった。
「帰るわ。じゃな」
「う…うん……」
さっきと同じように、地面を踏み鳴らすように歩く。
ジャリジャリという音を耳にしながら、その背中を目で追った。
「……ねえ!波留!」
名前を呼び捨てた。彼の足が止まり、後ろを振り返る。