…だから、キミを追いかけて

「何や」

無愛想な顔。
そこに立っているのは、澄良のことを好きな男性。
同級生の奥さんを好きでいる彼は、毎日をどんな気持ちで過ごしているんだろうか…。


「さっき言ったこと許して。言い過ぎた。ごめん……!」


誰に対しても謝ってばかりいる。
自分に自信がない。
ふらつくばかりだ。


「さっき言ったこと?謝るようなことか?」

笑っている。
そして、付け加えられた。


「お前の言った通りやろ!でも、内緒な!…無くしたーないから。キヨも海斗も!」

じゃあな!と手を振る。

潔い態度に、きゅん…となる。
片想いでいることの切なさを知って、私の方が苦しくなったーー。



(人を好きでいるって難しい)


でも、その気持ちをキープするのは、もっと難しい。


私には分からない。


人を好きになる気持ちも。


好きでい続ける気持ちも。


波留のようにはなれない。


私はやはり……


『独り』だ………




< 78 / 225 >

この作品をシェア

pagetop