…だから、キミを追いかけて
「何や」
無愛想な顔。
そこに立っているのは、澄良のことを好きな男性。
同級生の奥さんを好きでいる彼は、毎日をどんな気持ちで過ごしているんだろうか…。
「さっき言ったこと許して。言い過ぎた。ごめん……!」
誰に対しても謝ってばかりいる。
自分に自信がない。
ふらつくばかりだ。
「さっき言ったこと?謝るようなことか?」
笑っている。
そして、付け加えられた。
「お前の言った通りやろ!でも、内緒な!…無くしたーないから。キヨも海斗も!」
じゃあな!と手を振る。
潔い態度に、きゅん…となる。
片想いでいることの切なさを知って、私の方が苦しくなったーー。
(人を好きでいるって難しい)
でも、その気持ちをキープするのは、もっと難しい。
私には分からない。
人を好きになる気持ちも。
好きでい続ける気持ちも。
波留のようにはなれない。
私はやはり……
『独り』だ………