…だから、キミを追いかけて

(そうだよね……一人で来る場所じゃないよね……)

どの席にもカップルが座っている。
お一人様で来ているのは、どうやら私だけみたい。

まるでお邪魔虫のよう。早々に飲んで退散しなければ……



日没にまだかなり時間が早かった。
太陽は海上の遥か上の方にあり、眩しいくらいに光が乱反射している。
照らされた海は白く光り、まるでガラス細工の欠片が集まったように眩しい。

ずっと見続けているのは難しいくらいで、でも視線を逸らしてもカップルばかりが目に入る。


(なるほど…それで店内に結構お客さんがいたんだ…)

外は眩しい。おまけに寂しい…。

納得しながらもその場に居続ける。
何の音もしない場所に居るよりは、風や波の音を聞いている方がいい。


余計なことを考えずに済む。
今の自分には、それが一番有り難い。




「お待たせいたしましたー!星空フロートですー!」

声を上げ、女性がジュースを運んできた。

スカイブルーのサイダーの中に浮かぶ白いアイスクリーム。
星型に抜かれた黄色いゼリーはスプレーチョコと一緒に飾られ、星空が演出されていた。


「…この白い玉は何?」

サイダーの上部に極小粒の白い玉がいくつか浮かんでいる。
ぱっと見、薬か何かのような感じが気になって聞いた。


「それはラムネでーす!惑星をイメージしてるんですよー」

「…へぇー…そう…」

惑星ね…と妙な感じを受けながらも、ストローを袋から取り出した。
風に吹き飛びそうな袋を手にしたまま一口飲み込む。

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