幼なじみって何ですかっ!
「ほら和樹!体育館はこっちだってば!」
「あぁ!?体育館はあっちだろ!」
⋯ああ、またしても周りの視線がいたい。
さっきの平和な会話はどこへやら。
私たちは、また口げんか中。
新入生はまず靴箱をでて、その次に体育館へ行かなきゃいけないのに。
「体育館はこちらです、ってこの学校案内に書いてあるのが見えないの!?」
「それ逆さまだろーが!
ま、海玲ならありえそうなことだな!!」
「はぁ!?あんたじゃないんだから そんなことある訳ないでしょ!
どう見たら 逆さまに見えるのよ!!」
一週間前に、高校からとどいた
『入学の案内』と書いてある案内の冊子を和樹に突き出すも、全く信用しない。
何なのよ、ったく⋯!
私は額に手をつき、はぁ、とため息をこぼした。
⋯。ん?
「っか、和樹!」
「なんだよ!!」
先ほどとまるで違う、焦りを含んだ私の声が靴箱で響いたのには理由がある。
ちらっ、と手首に目をやった時に、見たくなかったものが見えたからだ。
この前買ったばかりの、真新しい腕時計。
9時12分の針が回る。
「もう入学式始まってるっ!!」