幼なじみって何ですかっ!
初登校
私は、これから毎日、学校の行き帰りを
歩くことになるであろう、新しい通学路を
のんびり歩いていた。
すると後ろから、規則正しく鳴る靴音と、
自分の名前を呼ぶ知り合いの声がした。
「おーい、海玲!はよ!」
クルッと振り返ると、そこには見慣れた
男子が。
「……。あ、なんだ。和樹か。」
「なんだとは何だよ!
つーか、今の一瞬の間がすげえ気になる!!」
「あーはいはい。」
ぶつぶつと文句を言い、
ふてくされながらもさりげなく私の隣を歩いているのは、菊川 和樹。
幼稚園からの幼なじみなんだ。
生まれつきの茶色い髪には、いつもどこかに寝グセがぴょこんとついている。
歩くたびに、その髪がフワフワ揺れて。
実際に触り心地の良いそれは、思わず引きちぎってやりたくなるほど。
それに、まつ毛も長い。
目は ぱっちり二重だし、鼻もスッと通ってて…
和樹にはもったいないね。
あ、ちなみに。
驚くことに、今までのクラス替えで、
和樹とはまだ1度も離れたことがないんだ。
家も近所だったこともあってか、幼稚園のときからはいつも一緒にいた。
⋯。
今考えると ちょっと気持ち悪いな。
「⋯今、心の中で俺の悪口言ったろ。」
「え。⋯なんでわかったの?」
「お前が、俺の顔をガン見しながら
しかめっ面するからだろーが!」
「あいたっ!」
和樹はムスッとしながら、私のおでこを
勢いよく指ではじいた。
う、けっこう痛い⋯。
ぱっつんな前髪があってよかった。
無かったら、赤く腫れるとこだった⋯
私はじろっと和樹を見上げる。
すると、あることに気付いた。
「⋯え、和樹また背伸びた?」
春休みは全く会わなかったから、
背が伸びたことに 今気づいた。
「へへっ、だろ?やっぱあれだな、オトコの成長期!」
「⋯」
「おい、無視かよ!」
コイツ⋯
身長だけじゃなくて、ウザさも増えてる。
こんな奴は、さっさと置いて行こうか。
⋯ってか、小学生の頃は 私の方がなんでも
できたはずのに。
今では、身長も、勉強も、スポーツも全く歯が立たない。
それが、すごく…