鬼母
優雅な朝日を
朝の5時50分ー
静かな目覚ましのベルが鳴る。
携帯電話の着信音よりも静かな音に起こされ、色白く指の長い華奢な手がその音を止める。
そしてゆっくりと静かに上半身を起こして
締めた遮光カーテンのほんの数ミリ空いた間から見える朝日を暫く見つめていた
2~3ミリのまっすぐ光る線を美和子は睨むようにじっと見据え暫くして
一つ大きな深呼吸をしてベットからするりとおりた。

後ろのベットへ振り替えると、長いまつげをふせて、頬っぺたはピンクやオレンジのような赤みがあり、ぷりぷりしている。
小さな紅葉のような手でタオルケットを握り小さな寝息をたてる息子達を見て
美和子は優しく微笑むと二階の寝室から1階へ降りた。

1階も、カーテンを締めているのでまだ暗い
美和子はリビングに入ってまずカーテンを勢いよく開け、窓を開けた。
時期は7月の頭ー白いほどの日の明るさはあるもののまだ早朝の涼しさは感じる事が出来る
今年の梅雨はじめじめしてスッキリしない毎朝だったが、梅雨明け一番に台風が直撃したお陰なのか初夏に入るとスッキリとした空気に変わった。

(美しい朝だー。)美和子は眩しい朝日と、早朝の涼しい風に幸福感を覚えた

それから、美和子は自分の支度を終えると朝食の準備をする
今朝は、大根、玉ねぎ、ほうれん草にお麩の味噌汁にあまーい玉子焼きとしらすのこむすびをだす予定だ。
味噌汁は終わったが、おにぎりと玉子焼きは子供たちが起きてから作った方がホカホカで美味しいだろうと思った。

チラリと時計を見る7時前ーー
いつもなら子供たちがトボトボと足音が聞こえて寝ぼけ声で「ママ~」と降りてくる。たまにタオルケットを握ったまま降りてくるのもまた愛おしく思う。
起きてこない時は、「幼稚園よ~お姫様?お殿様?起きて下さいな??」と優しく起こすが、今日は日曜日
起こす理由もないので今日は自力で起きるまで寝かしておいてあげたかった。
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