心温【短編】完
「そろそろ休憩にしよっか。」
ふぅと椅子につく彼女にマグカップを渡す。この光景にも見慣れてきた。
「ありがとう。その後どう?記憶は戻った?」
「いいや、まだ思い出せない。おかしいんだ、記憶処理部分はほとんど直っているはずなのにどうしても思い出せない」
ここへ来て2ヶ月が経とうとしている。さすがに彼も違和感を感じ始めていた。
ーーどうして思い出せないんだ?命令もなぜ届かない?戦場はどうなっている?
彼の不安げに見える顔を見て彼女はがたんと立ち上がった。
「一つ提案!ピクニックに行こうよ!!」