心温【短編】完


視界が開ける。


彼女の手を握っていたはずの手は剣を握っていた。


その手は剣を勢いよく突き刺す。



ズブリ。



剣越しに伝わる肉を刺す感覚。


「…あ、ああ………あ……………あぁ………」


声にならない声を出しながら視線をあげる。


彼女の細い首を締め付ける左手。


ーそして泣きながら『おかえり』と微かに口を動かす彼女。




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