心温【短編】完
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁあ!!!!!」
ガランと血にまみれた剣を落とす。
「…っ、なんで!!どうしてこんなことにっ…!!」
力が抜け倒れ込む彼女を支えながら地べたに座り込む。
「やっと…帰って…き、た」
かすれた声で彼女は続ける。
「何度も呼んだのに…、遅いよ。」
「しゃべるな!今医者にっ!!」
しかし彼女はいいの、と首を振る。
「ねぇ…あなたさっき、心が欲しいって…言ったじゃない…?けれど叶わないって…。
確かに、それは叶わないね…。
だって、あなたはもうとっくに手に入れているから。」
必死に伝えようとする彼女の言葉を聞いてピタリと動きが止まる。
ー手に入れているって?