桜の龍~誠の元に集う者~
 そんな年末の巡察は、浪士達を始めとする過激派連中も新年準備に忙しいようだが、治安維持を主な仕事とする新選組は、新年準備はとうに済ませ、せっせと巡察や稽古に励む。
 総「歩夢君、行くよーー?」
 歩「待ってよ、総司ー!」
 今日は、近藤派の幹部のみで行う夜勤の日。私も眠いが、副長助勤という幹部職の肩書きを持つため、泣く泣く参加する。
 平「あれ、今晩は薙刀を使わねーの?」
 歩「昼ならまだしも、夜戦になると手元が狂うのよ。だから夜勤の日は専ら刀だけで行くの」
 表門に向かうと、薙刀を持ってないのに気付いた平助が声をかけた。
 一「歩は剣も強い故、さながら謙信公や正清公の様だな」
 歩「私は戦国武将でも、ましてや毘沙門天でもないよ一」
 戦国武将は好きだけど、そこまで強くないよ!
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