桜の龍~誠の元に集う者~
 土「渡辺は戦国武将というより、松原といい勝負だと思うがな?」
 歩「私は武蔵坊弁慶でもありませんし、僧兵でもありません」
 松原さんというのは、四番組を率いる組長なんだけど、坊主頭に私より大きい薙刀を持つ、さながらかの武蔵坊弁慶を彷彿させる出で立ちをしている人なんだけど、山南さん並に親切な人なのだ。
 新「まぁまぁ・・・。二人共、そろそろ出るぜ?」
 剣呑な雰囲気になりつつあったところを、新八さんに宥められ、屯所を出発。途中、三馬鹿トリオと源さん・山南さんペアとに分かれ、残った私達で旅籠や飲食店で賑わう繁華街を見廻り、次に犯罪者や不逞浪士が出没しやすい裏路地にやって来た。
 総「気をつけて。いつ不逞浪士が出るか、分からないから」
 歩「そうなる前に風が気配を教えてくれるから、平気」
 軽口を言いながら、路地裏を進んで行く。その最中、風が複数の気配を運んでくれた。
 歩「・・・いる。この路地の二つ目の角を左に折れた場所に数人。うち一人が襲われていて・・・・・・?!」
 しかし、その気配の中に私の知っている人物の気配が混じっていたのだ。まさか・・・!でも、この気配は間違えるはずがない。どうして?!
 一「如何した?」
 歩「襲われているの、多分・・・未来にいるはずの私の友達だ。ごめん、先に行く!」







 歩「いた・・・!」
 風が運んだ通り、二つ目の角を左に曲がると不逞浪士が数人、一人の女の子を囲んでいる。やはり、間違いなかった。
 あの子だ!
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