桜の龍~誠の元に集う者~

神様はデジャヴがお好き?

 少女「イヤ、放しなさいよ!」
 浪1「いいじゃねぇか、酌の一杯くらいしてくれたって」
 浪士に気取られるとまずいから、足音と気配を完全に消して背後に回り込むかね~。
 歩「・・・一人の少女を数人で囲い込むとは、武士の風上にも置けぬなぁ」
 浪2「あぁ?何だ、てめぇは?用がねぇなら、すっこんでろ!」
 歩「生憎、我らは治安維持がお役目。刃向かうのならば、お相手いたそう」
 浪1「おい、そいつが着ている着物、よく見ろ」
 この時になって気付くって、いくらなんでも遅くない?
 浪3「浅葱色の羽織・・・コイツ、新選組だ!」
 歩「左様。新選組が一番組副組長、渡辺歩夢とは拙者のこと。さあ、どうする?」
 “桜花龍”の鐔を左手で押して鯉口を切り、刀身を出しながら殺気を少し放つと、不逞浪士に動揺が見てとれる。
 浪4「だ・・・だが、相手は一人だ。全員でかかれば!」
 浪5「そうだ。例え、壬生狼の新選組でも、一人だけなら」
 不逞浪士達は、自分の腰に差した刀を抜き、私に斬りかかってきた。
 キィンッ!
 居合いの要領で素早く抜刀し、攻撃を受け止めながら、少女を自分の背後に庇う。
 歩「・・・誰が壬生の狼だ。それに、こちらは一匹で行動しておらん」
 壬生狼というのは、いつの頃からか新選組に付いた渾名。壬生村の浪士と狼を引っかけているようなため、付けたのは地元の人達だろう。
 土「渡辺、無事か!?」
 総「わっ、しかも斬り合いになってるし!」
 一「助太刀する」
 そこへ土方さん達が合流、自分の刀を引き抜いて、私の周りにいる不逞浪士達と対峙する。
 歩「怪我は?」
 少女「大丈夫です」
 どうやら、怪我はしなかったらしい。
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