桜の龍~誠の元に集う者~
 雫が寝間着に着替えている間に、手早く床を整え、掛け布の上にこれまた予備の毛布を重ねる。
 歩「雫、着替え終わった?」
 雫「うん、でもなんで?」
 寝間着に着替えている間に、冷静になったらしい雫がタイプスリップした事について悩んでいた。
 歩「何はともあれ、今は少しでも眠った方が良い。多分、鬼副長が明日の朝に場を設けてくれる・・・。その時、洗いざらい話して?」
 雫「分かった・・・ありがとう、歩」




 雫が眠ったのを見計らい、自分用の毛布と“桜花龍”を持って部屋を出ると綺麗な満月が、中庭を照らしていた。
 歩「一体、何がどうなってるの?」
月を見上げながら最近の異変について考えていると、自分の式を従えた近藤さんと山崎さんがやって来た。
 近「渡辺くん、こんなところで何を?」
 歩「先程、私と同じ先の世から人間がこちらの世に時渡りしてきまして」
 崎「監視なら、ワイら監察方でやるで?」
 歩「そういう訳には行かないのです。時渡りをしてきた人間は私の竹馬の友でして、男性だと色々と面倒が」
 近「そうだったか!それは失念していた」
 近藤さんは、ズーンと音が聞こえそうな表情で後悔した。
 
< 114 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop