桜の龍~誠の元に集う者~
 土「よし、次は幹部と試合させてみるか平助!こいつの相手しろ」
 すると、『平助』と呼ばれた人物がひょっこりと出てきた。年は私より2~3才くらい上かな?
 藤「俺、八番組組長の藤堂平助(とうどう へいすけ)!よろしくな!」
 歩「渡辺と申します。宜しくお願い致します」
相手が名乗ったのならば、自分も名乗るのが礼儀。そう思い、私も軽く挨拶を返す。
 沖「両者、構えて」
 竹刀を構える。案外、背が小さいのね。頭半個分しか違わないや。
 沖「始めッ!!!」
号令と同時に、藤堂さんが先に攻撃を仕掛ける。
 藤「おりゃぁぁー!!」
 歩「おっ・・・と!」
 上手く攻撃をかわし、背後へと回り込み勝負を決める。
 沖「一本!勝者・渡辺!」
 土「・・・よし総司、次はお前が相手しろ。平助、総司に竹刀を渡せ。審判は俺がやる」
 とうとう沖田さんか~。猛者の剣って謡われる腕前だからなぁ~。気を引き締めないと。


 歩「沖田さん。私は相手が誰であれ、手を抜く気は毛頭ありません。全力で参ります。ですから、沖田さんも本気で掛かってきて下さい」
 沖「分かった。その勝負、受けて立つよ」
 新選組最強と言われた沖田総司。その本人と試合ができるのだから、私は幸運だ。
 土「両者、構えて。・・・始めッ!」
 土方さんの号令が下っても、全く動かない。攻め込みたいけど、隙がまるで無い。これが人を殺す新選組の姿・・・。そんな事を思っていると、沖田さんが仕掛けた。私は、攻撃を受け止める。
 バシィッ! 歩「お、重い・・・・・・!」
沖田さんの剣は、とても太刀筋が重い。普段がこれくらいだと仮定すると、得意技の三段突きの威力は計り知れない。防戦しながら、瞬時に考えを巡らせる。
 幸い、私と沖田さんではかなりの身長差がある。なら体格の差と小回りを利用して素早く攻め込めれば、私にも勝機はある!それを確信した時、沖田さんは平正眼の構えをしていた。こうなったら・・・!
 歩「えいっ!」タンッ!
 私は、幼い頃から持っていた常人離れの跳躍力と脚のバネを使って、沖田さんの頭上を軽々と跳んでみせた。
 歩「テリャッ!!」パシンッ!
跳びながらクルリと向きを変え、肩に竹刀を当てた。
 土「一本!よーし、合格だ」
 歩「ありがとうござい・・・ます・・・」
 そして、そのまま意識を無くした。
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