桜の龍~誠の元に集う者~
 新「歩ちゃんは剣の他にも、何か得意な武器はあるのか?」
もちろんでーす♪
 歩「護身術程度に柔術を少し。あと、左之さんの槍には負けるかと存じますが、薙刀も扱えます」
 小学校時代、卒業した大先輩に五輪で金メダルを取った柔道選手がいた関係で小1~小6まで体育の授業を使って柔道の手解きを受けていたし、高校では剣道部には入らず薙刀部に入っていた。因みに、薙刀の腕前も全国で屈指♪
 山「隊士としてここで働いて頂く以上、男性としての偽名を考えなければなりませんね」
 沖「そうですね。周囲の人間に勘づかれない偽名がいいですよね」
 まぁね、本名で隊士名簿に載る訳にはいかないよね。名前の字面だけ見れば、男って言っても通じそうだけど。
 近「偽名か・・・。何という名がいいか」
その時、私の脳裏にある記憶が甦ってきた。あれは確か、この時代にタイムスリップする少し前。剣道の稽古が終わって、家の縁側で母さんと話していた時だったっけ。
 母「あゆ。もしあなたが男として家に来たら、『夢に向かって歩く』と書いて歩夢(あゆむ)って名付けるつもりだったのよ」


 歩「歩夢・・・」
 近「渡辺君。どうしたのかね?」
 近藤さんが不思議そうな顔をして、私に問い掛けてきた。
 歩「この時代に来る少し前に母が『もしあなたが男として生まれたら“夢に向かって歩く”と書いて歩夢と名付けるつもりだった』というのを思い出して」
< 28 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop