桜の龍~誠の元に集う者~
 店主「不思議な事もあるんどすな。そういえば、その刀は妖刀だった事をすっかり忘れてましたわ」
 歩「妖刀?確かに、他の刀にはない独特の雰囲気を感じますね・・・・・・」
 妖刀だったら、全ての事情の説明が出来る。多分、この刀は相応しい主が来るのを待っていたんだ。だから並大抵の武士が使おうとするのを、頑ななまでに拒否していたんだ。
 歩「じゃあ、この刀を下さい」
 店主「でしたら、この小太刀も付けましょう。太刀の名前は“桜の花の龍”と書いて『桜花龍』(おうかりゅう)、小太刀は“東の雲”と書いて『東雲』(しののめ)と言います。大事になすって下さい」
 これからよろしくね、『桜花龍』・『東雲』。そうだ、代金を支払わないと。
 歩「お代はいくらですか?」
 店主「いえいえ、薙刀の代金だけで結構どす。もともと、その二振りとも買手が付かなくぅて、困り果ててたんですわ」
 土「そうだったのか。んじゃ、コイツは薙刀の代金だ」
 店主「まいど~」


 歩「お得な買い物しましたね、土方さん」
 土「そうだな。着物と髪紐、先にどっちを買いたい?」
着物と髪紐か・・・・・・・。髪紐って、着物に合わせた方がいいんだよね。
 歩「着物がいいです。先に着物を買って置けば、髪紐の色の見当がつきやすいので」
 土「着物だな。この先に、俺達の行き付けの呉服問屋があるから、そこで買うぞ。ついて来い」
 歩いている時にも思ったけど、土方さんって歩くの意外と速い。スタスタと行くから、競歩じゃないと置いて行かれる(汗)。
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