桜の龍~誠の元に集う者~
 土「着いたぞ、俺たち行き付けの呉服問屋だ」
 どうやら、次なる目的地に着いたらしい。看板を見ると『菱屋』と書かれている。
 土「おーい、妙さんはいるかー?」
なんか、すごい手慣れた感じで店に入っているんですけど。
 歩「ちょっ・・・ま、待って下さいって!」
 この店にどんだけ来てるんだ?ん?っていうか、妙さんって誰?そんな事を疑問を胸に、私も店内に入ると、奥から出てきてのは優しそうな女性だった。
 妙「いらっしゃいまし。あらあら、土方はんやないの」
顔見知り?行き付けの店って土方さんが言ってたから、知り合いになって当然か。
 土「連れの着物と袴、浅葱の羽織が欲しいんだが」
 妙「新しい隊士はんでも、入りますんで?」
 土「嗚呼、後ろにいる。コイツは女なんだが、ワケありで男として入隊することになったんだ。渡辺、そんなトコに突っ立ってねぇで、こっちに来い」
 はっ!いかんいかん、つい考え事をしてしまった。取り敢えず自己紹介するか。
 歩「えっと・・・本日付で壬生浪士組に入隊する事になった、渡辺歩夢こと本名は歩と申します」
 妙「随分かわいらしい娘はんやなぁ。ウチはこの呉服問屋・『菱屋』の女将をしてます、妙といいますぅ。よろしゅうお願いしますぇ、歩はん」
 
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