桜の龍~誠の元に集う者~
 素直にお礼を言いながら、お妙さんと一緒に土方さんの元に向かう。
 歩「お待たせしました。どうですか?」
 土「おっ、似合ってるじゃねぇか。あとはコレを腰に差せ」
そう言った土方さんは、細長い袋から“何か”を取りだし、私に手渡す。それは、先程の『桜花龍』と『東雲』だった。
 歩「刀を差すのは、初めてです」
 土「未来には、刀はねぇのか?」
 歩「そうですねぇ、刀どころか侍もいませんよ。刀を持ったりしたらそれこそ御法度で、お縄に付いてしまいます」
 土「そうか・・・」
 話しながら、『桜花龍』と『東雲』を腰に差す。
 土「よし、髪紐を買いに行くぞ」
 歩「はーい。じゃあお妙さん、お邪魔しました」
 妙「いつでも遊びに来てな」
 歩「はい!失礼します」
お妙さんに挨拶をして、小間物屋で髪紐を買って屯所に帰る頃には、空が綺麗な茜色に色付いていた。
 土「そろそろ夕飯だな。急いで帰るぞ」
 歩「はい。では、駈け足で!」
 両手に荷物を持ってまま、私と土方さんは屯所まで全力疾走したのであった。
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