桜の龍~誠の元に集う者~
 中庭に出た私は、彼らに請う。
 歩「私が話した史実と、これからお見せする姿はくれぐれも他言しないで下さい。お願いします」
 平「分かったぜ!」
 沖「歩ちゃんはもう、仲間同然だからね」
 近「総司の言う通りだ!俺達は君を受け入れるさ!」
あぁ、この人達は信じられる。ありのままでいられる・・・。そう思うと、フッと心が軽くなっていくのが自分でも分かった。
 歩「ありがとうございます。では、私が“いい”と言うまで後ろを向いてるか、目を閉じていて下さい」
 全:コクリ(゜ー゜)(。_。)
全員が頷いて後ろを向いたのを見届けた私は、指先で印を結んで呪を唱える。
 歩「我は龍の血を引く者なり・・・私の名に於て命ず。天を吹く風よ、我を元ある姿に戻せ・・・“解”!」
 すると、私の足元から突如として竜巻が起き、私の全身を包み込んだ。同時に私の体も桜色に光り始める。そう、“人”から“人ならざるモノ”へと変化が始まったのだ。胴体はどんどん長くなり、頭から長い2本の角が生え始める。両手足と背中は美しい桜色の鱗に覆われ、爪も伸びる。喉は恐ろしい程の低音でゴロゴロと鳴り、口には牙が鋭く伸び、顔つきも変わっていく。髪も黒から深紅へ変わり、鬣のようになる。最後に腰から鱗と魚みたいな尾びれが付いた長い尻尾が生えた。
 歩『皆さん、もういいですよ』
変化が終わり、後ろを向いてる彼らを呼ぶ。
 土「なんか、すげぇ風が吹いたんたが・・・って渡辺?!」
 沖「ちょっ・・・どうしたの?!」
あら、少し驚かせ過ぎたかな?
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