桜の龍~誠の元に集う者~
 歩『ひとまず、人の姿に戻りますね。山南さんが現実に帰ってないので・・・よっこらせっ・・・と」
 山「・・・・・・・・・・(゜д゜)」
 土「山南さーん、帰って来い」
 山「(゜ロ゜;」
 人の姿に戻り、土方さんに呼ばれてやっと山南さんは現実に帰ってきた。
 沖「本当に大丈夫ですか、山南さん?」
 山「えぇ・・・」
不安だなぁ。
 近「渡辺君。今は術であの姿になった様だが、他の理由がきっかけではなったりは?」
 歩「ありません。ただ、怒りで我を忘れたりすると俗に言う“半化け”になりますが」
 普段はめったに龍の姿にならないけど、半化けは結構ある。そういう時は大抵は、強い怒りで我を忘れた原因だったりする。
 歩「半化けの姿を見た人々は皆、私を“化け物”だと言って逃げて行きました。幼い頃はそれが原因で、よく迫害を受けたりしたものです」
イジメは長い間続き、私の心は深く傷付いた。その心の傷は今もなお、癒えきれていない。
 近「そうか。大変だったな」
 土「だが、これからはもう一人じゃねぇ。俺達がいる。辛くなったら、素直に甘えろ」
 モウ、ヒトリジャナイ・・・。いつ以来だろう、その言葉を聞いたの。両親と隣に住んでたあの子を除けば、言われたの初めてだ。そう思った途端、私の頬を温かい何かが流れていった。
 沖「歩ちゃん・・・もしかして泣いてる?」
 歩「え?あっ、本当ですね。おかしいなぁ?私、嬉しいはずなのに涙が止まらな・・・・・・?!」
 息が止まったのかと思った。だって土方さんが私をまるで壊れ物を扱う時みたいにそっと、抱き締めきたから。
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