桜の龍~誠の元に集う者~
 沖「両者、構えて」
竹刀を構える。周囲では一番組と三番組の隊士達が、稽古をそっちのけで見学している。何?注目の一戦?
 沖「・・・始めッ!」
 号令が下ると同時に、斎藤さんが竹刀を脇に引いた。という事は。
 歩「はあっ!!」タンッ
助走をつけ一気に間合いを詰め、思いきり振り下ろす。
 斎「ふんッ!」バシッ!
 やっぱり居合か。道理で、竹刀を脇に引いたワケだ。手際よく受け止めて反撃に転じようと試みるも、その前に斎藤さんの追撃が容赦なく襲う。どうしよう?!一か八かだけど、あの技をやってみるしかないか。名前は、刀の名前から取って・・・
 歩「秘技・桜花乱舞!!」ひゅんっ!
 普段、薙刀でしか使わない動きで斎藤さんの攻撃を受け流し、決定打を決める。
 沖「一本!勝者・渡辺!!」
 歩「ハァ・・・ハァッ・・・沖田組長と並び称されるだけあって、強いですね」
 斎「フッ・・・ハァ・・・アンタもな。それと一つ願いを聞き入れては貰えまいか?」
お願い?何だろ??
 歩「はい、何でしょう?」
 斎「苗字ではなく、下の名前で呼んで欲しい。敬語も無しだ」
 えぇッ、平助はまだしも、何故に斎藤さんも名前呼びのタメ口なのですか?
 沖「平助といい一君といい、そんなに下の名前に呼ばれたいの?じゃあ、僕も」
いやいやいやいや、いくら歳が近いからってそれはアリですか?!
 しかも沖田さん、曲りなりにも私の上司でしょう?!
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