桜の龍~誠の元に集う者~
 [土方side ]
 アイツ・・・渡辺は平気だったのか?総司の言葉が、妙に気になってしょうがねぇ。
 それは、巡察から帰って来た総司と原田が、結果を報告しに俺の部屋にやってきた時の事だった。
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 総「土方さん、沖田と原田です」
  「入れ」
 総・原「失礼します」
二人が座ってから、俺も向き直る。
  「今日の様子は?」
 総「行きは何も。でも、帰りに浪士約30人と斬り合いに」
  「何だと?!被害は?」
 原「一人隊士が怪我したが、すぐに歩が治した」
  「そうか。アイツは龍の子だからな、それ位は朝飯前だろ」
 そう、渡辺は龍の子。朝飯の後にアイツが俺達幹部に見せた、もう一つの姿。後ろを向いた直後、とてつもない強風が吹き荒れて向き直った先にいたのは、美しさと荒々しさを兼ね備えた桜色の龍。その後、人の姿に戻った渡辺はポツポツと自分の過去を語り出した。
 渡辺は、この時代に来る前から何度も半化けの姿になり、周囲の人間から忌み嫌われいた。
そして自分の身を自分で守るため、父や祖父について武芸を磨き、つい三日前に150 年の時と空間を越えて、ここにやってきた。
 誰もが法の下で平等になり、戦の無い平和はな時代だとアイツは言っていた。
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