桜の龍~誠の元に集う者~
 うーん・・・これって、男装が似合っているという事でいいのかな?だとすると、少し複雑だなぁ。
 芹「そうか、お梅は初めてじゃったな。アヤツは一月前に入隊した、新しい幹部の渡辺歩夢じゃ。渡辺、コヤツは儂の妾のお梅じゃ」
この人がお梅さんか、綺麗な女性~。
 梅「はじめまして、ウチはお梅いいますぅ。よろしゅうな、渡辺はん」
 歩「こちらこそ挨拶が遅れ、申し訳ござらん。副長助勤兼一番組副組長を務める、渡辺歩夢だ。以後、見知りおきの程を」
 声まで、まるで鈴が鳴ってるみたいだし・・・同性として自信を無くすわ。
 梅「それにしても、ホンマに男の方なん?勿体ないくらいの女顔やし、故郷ではモテたとちゃうの?」
 歩「はは、何を仰られます。拙者は生まれてから此方、一度も異性に好かれた試しなど有りませぬ」
 芹「てっきりモテると思うとおったが、そうでもないのか」
 モテるワケないでしょーー。一月前まで女の園にいたんだから。
 土「ところで芹沢さん。一体、何の用だ?」
土方さんが用件を問う。
 芹「・・・単刀直入に聞く。お主らは何か隠しておるじゃろ?特に渡辺、お主じゃ」
 次の瞬間、全身の血の気がサーッと引いていくのを感じた。まずい、どうにかして切り抜けないと・・・!
 歩「何を根拠に?隠し事など、してはおりませぬ」
冷静を装い、さりげなく目線で近藤さん達にSOSを出す。
 山「本人の言う通りです。彼のどこに、そんな要因があるというのです?」
 山南さん、ナイス助け船!ポーカーフェイスを眼鏡が際立たせて、さながら百戦錬磨の将軍だな。私も見習わねば。
 近「芹沢殿。渡辺君は大切な我等の仲間、これ以上の失言は、たとえ貴殿でも許しませんぞ!」
近藤さん、やっぱイイ人だ!
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