桜の龍~誠の元に集う者~
 土「桜、俺にも酌を頼む」
 歩「へい。ほな芹沢せんせ、失礼しますぅ」
芹沢から離れ、土方さんの方へ急ぐ。
 土「そろそろ始めるぞ」
 耳元で囁かれ、赤くなった顔を隠そうと盃に酒を注ぎながら、背中を“了承”の意味も込めてトントンと叩く。 あの声を耳元を囁かれたら、心臓がもたない(汗)。
 土「芹沢さん。明日も忙しいし、宴会はこの辺でお開きにしねぇか?」
 芹「そうじゃのぅ。これ以上、お梅を一人にさせると拗ねてしまうからのぅ」
土方さんの誘いに、いとも簡単にのる芹沢。
 山「では・・・私達が屯所まで、お送りしましょう」
 そう言って、土方さん・山南さん・左之さん・総司・平助の5人が芹沢について行った。 それを合図に、私は着替え部屋に入り、芸者姿からいつもの普段着に着替えて裏口から屯所へ飛んで戻り、討ち入り用の黒い着物と袴を着て、腰に『如月』を差してから合流地点へ急いで向かった。



 合流地点に向かう途中、急に雨が降ってきた。
 総「あっ歩ちゃん、こっちこっち」
総司が手招きする場所へ駆け寄り、土方さんに状況を確認する。
 歩「土方さん、状況は?」
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